こんにちは。安泰漢方鍼灸院の稲葉です。
朝夕の風が涼しく、秋の深まりを感じる頃となりました。
この季節、
「肌のツヤが減った気がする」
「なんとなく気分が沈みがち」
「食欲や睡眠のリズムが安定しない」
――そんな不調を感じていませんか?
東洋医学では、秋は「収穫」と「収蔵」の季節。
夏の疲れを内にため込みやすく、「気(き)」と「血(けつ)」の流れが滞りやすい時期です。
この巡りの停滞が、だるさ・肌のくすみ・冷え などのサインとして現れます。
今日は、体を内側から整え、心と肌を明るくする “秋の巡り薬膳スープ” をご紹介します。
冷えや乾燥が気になる方、美肌や疲労回復を意識したい方にぴったりの一品です。
🍂 “巡り”のカギは「肺」と「肝」
秋に弱りやすい臓は「肺(はい)」と「肝(かん)」。
肺は「気」の流れをつかさどり、皮膚や粘膜を潤す働きを持つ臓。
乾燥や冷えで弱ると、肌あれ・咳・疲れやすさといった不調が出やすくなります。
一方の「肝」は、ストレスや情緒と深く関わり、気の巡りをスムーズにする役割を持ちます。
この肝がこわばると、血の流れも滞り、くすみやイライラが現れやすくなります。
つまり、秋の巡りケアのポイントは――
「肺を潤し、肝の流れを整えること」
この2つを意識すると、心も体も自然と軽やかになります。
🍲 秋の“巡り”薬膳スープ(2〜3人分)
材料
- 鶏手羽元 … 6本(気と血を補い、体を温める)
- 大根 … 1/4本(消化を助け、気の巡りを促す)
- れんこん … 1節(肺を潤し、血をきれいに)
- 干し椎茸 … 2枚(血流を改善し、うま味と栄養をプラス)
- 生姜 … 1片(冷えを防ぎ、巡りを助ける)
- 陳皮(ちんぴ) … 少々(気の滞りを解消、香りづけにも最適)
- 水 … 約1リットル
- 塩 … 適量
作り方
1️⃣ 干し椎茸と陳皮を水で戻し、鶏手羽元は軽く下茹でしてアクを取ります。
2️⃣ 大根・れんこんは乱切り、生姜は薄切りにします。
3️⃣ 鍋にすべての材料を入れ、沸騰後に弱火で約1時間コトコト煮込みます。
4️⃣ 最後に塩で味を整えて完成です。
香り高い陳皮と生姜の風味が、秋の冷えた体を内側からじんわりと温めます。
🌿 食材がもたらす“巡り”の力
食材の組み合わせ | 東洋医学的作用 | 期待できる効果 |
---|---|---|
大根 × 陳皮 | 「理気」作用 | 胸のつかえ、胃の不快感を改善 |
れんこん × 椎茸 | 「活血」作用 | 血流を促し、冷え・くすみを解消 |
鶏肉 × 生姜 | 「温補」作用 | 冷えを防ぎ、疲労回復をサポート |
煮込むほどに素材の甘みが引き立ち、
スープを口に含むと、体の奥までやさしい温かさが広がります。
まさに、“食べる養生”。
☕ 今日から始める“巡り習慣”
このスープは、夕食の最初の一杯におすすめです。
冷えを感じる夜や、疲れがたまった日に飲むと、
体も心もほっとゆるみ、眠りも深くなります。
食養生の基本は「無理をせず、続けること」。
季節の食材を使いながら、毎日の食卓で“気と血の巡り”を育てていきましょう。
「温かいスープをひと口飲む」
その小さな時間こそが、あなたの体と心を整える東洋医学的なケアです。
🌸 まとめ:内側からめぐり、美しく整う秋へ
秋は、外の乾燥とともに体の内側も冷えやすく、心も内向きになります。
だからこそ、食で「めぐり」を整えることが、心身のバランスを守る第一歩。
肺を潤し、肝をゆるめるこの薬膳スープは、
美肌・疲労回復・情緒の安定 にも役立ちます。
体を温め、血の流れがスムーズになると、
自然と表情にも明るさが戻ります。
どうぞ、秋の夜長に“巡りのスープ”をお楽しみください。
💬 次回予告
明日の【今日のツボ】では、
むくみと冷えのダブル解消!腎のエネルギーを高める「太渓(たいけい)」 をご紹介します。
冷え体質を根本から整えたい方におすすめのツボです。
🩺 この記事は東洋医学の知恵に基づいて書かれています。
体調に不安がある場合は、医師や専門家にご相談ください。