こんにちは、安泰漢方鍼灸院の稲葉です。
朝夕の冷え込みが増え、「夕方になると靴がきつい」「手足が冷えて眠れない」…そんなご相談が増える季節です。
実は “むくみ” と “冷え” は、東洋医学では同じ根っこ——腎(じん)のエネルギー不足 から同時に起こりやすい不調。
今回は、腎を底上げして体質から整える特効ツボ 「太渓(たいけい)」 を、やさしく実践できる形でご紹介します。
🧭 東洋医学でみる「むくみ」と「冷え」──キーワードは“腎”
「腎」は水と生命力をつかさどる
東洋医学の「腎」は臓器としての腎臓を超え、
- 水分代謝の統括(腎は水を主る)
- 生命エネルギーの貯蔵(腎は精を蔵す)
- 骨・歯・生殖・記憶の維持
- 体を芯から温める「命門の火」の維持
といった“土台力”を担います。
なぜ同時に起こるの?
腎のエネルギーが落ちる 腎虚 では、
- 余分な水がさばけず むくみ が生じる
- 命門の火が弱まり 冷え が進む
——という二重苦に。いわば 「体のバッテリー切れ」 の状態です。
🎯 腎経の要「太渓」──腎を直接“チャージ”する原穴
📍 太渓の場所(まずは確実に)
足内側、内くるぶしの最も高い所からアキレス腱へ指を滑らせたときのくぼみ。
ここが腎経の原穴=腎をダイレクトに補える特等席です。
💡 期待できる主な効果
- 水分代謝の改善:夕方の足のむくみが軽くなる
- 深部体温アップ:指先・足先までぽかぽかに
- ホルモン/自律神経の安定:月経前のむくみ、更年期のほてりや冷えに
- 疲労回復:だるさ・倦怠感の軽減、巡りが整って元気に
👐 自宅でできる「太渓」セルフケア
1) 指圧(基本の押し方)
姿勢:椅子に座り、片脚を反対側の膝にのせる。
手順
- 親指の腹で太渓に垂直に当てる
- 3秒かけて押し込み → 5秒キープ → 息を吸いながら離す
- 左右各 10回
最適タイミング:朝起きてすぐ/入浴後/就寝前
強く押しすぎは逆効果。「痛気持ちいい」が合図です。
2) 温灸(ぽかぽかが持続)
用意:台座灸(せんねん灸等)、耐熱皿・水・ライター
手順
- 太渓の位置確認 → 台座灸を置く
- 点火し、心地よい温熱を3〜5分
- 左右 3〜5壮(一つが燃え切るまでを1壮)
注意:やけど・妊娠中・発熱時・皮膚炎部位は避ける。初回は少量から。
🧪 即効性+続けやすさを両立:1日の“腎アップ”ルーティン
- 朝:太渓を各10回 → コップ1杯の白湯
- 日中:足首回し30回 × 2セット、ふくらはぎストレッチ
- 夜:入浴後に太渓へ台座灸 → 就寝前に軽く指圧
ふくらはぎは“第二の心臓”。歩行・足首運動でむくみ予防に。
🥣 腎を補う“黒い食材”で中から後押し
- 黒豆:煮豆/黒豆茶(利水・むくみ改善)
- 黒ごま:すりごまにして毎食小さじ1(抗酸化+潤い)
- 黒きくらげ:スープや炒め物(巡りサポート)
- くるみ:1日5〜8粒(腎を温め脳の栄養にも)
- 山芋:すりおろしやとろろ(滋養強壮・胃腸にも◎)
+装備:レッグウォーマー/五本指ソックス/腹巻きで“冷やさない”を徹底。
📝 よくある質問(FAQ)
Q. どのくらいで変化が出ますか?
A. 個人差はありますが、1〜2週間の継続で夕方のむくみや足先の冷えに変化を感じる方が多いです。
Q. 何歳でもできますか?
A. 基本は年齢を問いませんが、強い圧は不要。ご高齢の方・皮膚が薄い方は優圧で。
Q. 生理中は?
A. 指圧はOK。温灸は体調に合わせて、熱感が不快ならお休みを。
🚩 こんなサインは“腎おつかれ”の合図
- 朝からだるく疲れが抜けない
- 足腰が頼りない、冷えが芯に残る
- 夜間頻尿が続く/むくみが慢性化
- 白髪・抜け毛が増えた、耳鳴りが気になる
複数当てはまるなら、太渓ケア+生活見直しをおすすめします。
🧑⚕️ 専門ケアが必要なときは
セルフケアで変化が乏しい・強い冷えや頑固なむくみが続く場合は、
体質診断のうえでの鍼灸+温灸+生活アドバイスが効果的です。
当院では、太渓を中心に 腎を補う配穴 を組み合わせ、根本から巡りを整えます。
✅ まとめ:太渓で“バッテリー”を満タンに
「むくみ」と「冷え」は、腎のエネルギー不足が作る表と裏。
太渓の指圧+温灸+歩く生活+黒い食材 の4点セットで、
芯から温かく、むくみにくい身体へ。今日から小さくはじめましょう。
⚠ ご注意
- 強い痛み・発熱・皮膚炎・妊娠中の温灸は避ける
- 既往症や服薬中の方は、医療専門家へご相談を
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参照:厚生労働省|統合医療情報発信サイト(東洋医学)