こんにちは。安泰漢方鍼灸院の院長、稲葉貞子です。
朝夕の冷え込みが強まり、手足が冷たくなる季節。
「子どものお腹が冷たい」「何日もうんちが出ていない」「お腹が張って苦しそう」——
そんなご相談が、最近とても増えています。

それは、東洋医学でいう 「冷え便秘」 かもしれません。
薬に頼らず、家庭でできるやさしいケア「のの字マッサージ」で、
お腹の中からぽかぽかと温め、腸のリズムを整えてあげましょう。


🍎 子どもの「冷え便秘」とは?

東洋医学で見る便秘の原因

東洋医学では、便秘を“腸の詰まり”ではなく、
体全体の 「気・血・水」 のバランスが乱れたサインとしてとらえます。

とくに冷えによる便秘は、胃腸を動かす「脾(ひ)」の力が弱まり、
体の中が冷えて腸の働きが鈍ってしまう状態。

冷え便秘のサイン

  • お腹が冷たく、張っている
  • 便は硬くないのに出にくい
  • 食欲がない、または偏食気味
  • 顔色が青白く、手足が冷たい
  • なんとなく元気がない

❄️ なぜ今、子どもの冷え便秘が増えているの?

現代の生活環境には、子どもの体を冷やす要因がたくさんあります。

  • 冷たい飲み物やアイスの摂りすぎ
  • 冷暖房による室内外の温度差
  • 運動不足による腸腰筋の衰え
  • ストレスや緊張による自律神経の乱れ

こうした要因が重なると、腸の「気の流れ」が滞り、
排便リズムが乱れやすくなります。


🤲 今日からできる!「のの字マッサージ」

準備と姿勢

  • 手を温めておく(オイルがあれば薄く使用)
  • 子どもを仰向けに寝かせ、リラックスできる姿勢に
  • 親も深呼吸してから始めましょう

ステップ① お腹を温める

両手のひらをお腹にあて、時計回りにゆっくりさすります。
皮膚がほんのり温かくなるまで、1〜2分が目安です。

ステップ② のの字マッサージ

指の腹3本で、右下(盲腸あたり)から「の」の字を描くように、
時計回りにゆっくりと 動かします。
1周10秒ほどのテンポで、3〜5分ほど行いましょう。

ステップ③ 仕上げ

最後に手のひら全体で、お腹を上から下へ優しくさすり下ろします。
「よくがんばったね」と声をかけながら行うのがポイントです。


🌿 効果を高めるコツ

年齢力加減の目安
新生児〜1歳クリームを塗る程度のやさしさ
1〜3歳絵本のページをめくる軽さ
3歳以上絵の具を塗るくらいの軽い圧

タイミング:

  • お風呂上がり(血流・代謝が上がる)
  • 朝食30分後(腸が動き出す時間)
  • 就寝前(リラックスと安眠効果)

🩵 なぜ「のの字」で効くの?

大腸の流れ(右下→上→横→左下)に沿った刺激だからです。
さらに、お腹には「胃経」「脾経」「腎経」など
消化と代謝に関わる経絡が集まっています。
やさしい刺激でこれらの経絡を温めることで、腸の動きが整い、
自然な排便リズムが戻ります。


🍠 一緒に取り入れたい日常ケア

食事:

  • りんご(整腸作用。温めて食べると◎)
  • かぼちゃ(胃腸を補い、冷えを改善)
  • にんじん(消化を助け、血を補う)

避けたいもの:

  • 冷たい飲み物・アイス
  • 南国系フルーツ(体を冷やす)
  • 小麦・砂糖のとりすぎ

生活:

  • 腹巻きでお腹を守る
  • 20分の散歩やブランコ遊びで腸を刺激
  • 寝る前の足湯で冷え予防

🌼 症例紹介:4歳男児の冷え便秘

3日以上排便がなく、腹部の張りと食欲不振で来院。
「のの字マッサージ」と腹巻き、温かいりんごの摂取を指導。
1週間で自然な排便が再開し、2週間後には表情も明るく元気に。


🪷 院長からのメッセージ

子どもの便秘は、身体の小さなSOSです。
「のの字マッサージ」は、薬を使わずにできる優しいケア。
なによりも、ママやパパの“温かい手”が
お子さんに安心感とエネルギーを与えてくれます。

もし改善が見られない場合は、体質に合わせた東洋医学的ケアで
無理なくサポートできますので、いつでもご相談ください。


🌸 まとめ

冷えからくる子どもの便秘は、温めとスキンシップで改善できます。
今日から「のの字マッサージ」で、お腹も心もほぐしてあげましょう。
親子の触れ合いが、いちばんの“整う薬”です。