秋に気をつけたい東洋医学の情緒養生
こんにちは。昨日ご紹介した「三陰交(さんいんこう)」、試していただけましたか?
足元がぽかぽかと温まると、心までほぐれる――それは、体と心が“つながっている”証拠です。
さて、秋が深まるこの季節。
「なんだかイライラする」「気分が落ち込みやすい」「やる気が出ない」――
そんな不調を感じていませんか?
それは単なる“気分”ではなく、東洋医学でいう「肝(かん)」の乱れ=SOSサイン かもしれません。
🌿 「肝」は“将軍の官”──気の流れと情緒をコントロール
東洋医学でいう「肝」は、西洋医学の“肝臓”より広い働きを持つ臓。
その最大の役割は 「疏泄(そせつ)」=全身の気(エネルギー)の流れを整えること。
まるで将軍が軍を指揮するように、「肝」は体と心のリズムを統率しています。
この働きが乱れると、気の流れが滞り、
- イライラする
- ため息が多く出る
- 胸や脇が張って苦しい
- 憂うつ・焦りが続く
といった“情緒の渋滞”が起こります。
🍂 秋のイライラは「乾燥」が原因?──肺と肝の関係
秋の特徴である 乾燥(燥邪〈そうじゃ〉) は、まず「肺」を弱らせます。
五行説では「肺(金)」と「肝(木)」は抑制関係にあり、肺が弱ると肝が過剰に働き、
情緒が乱れやすくなる のです。
つまり、秋のイライラは「乾燥」が引き金となり、
“肺と肝のバランス”が崩れているサイン とも言えます。
また、季節の変わり目は環境変化も多く、
仕事・学校・家庭などのストレスが肝をさらに疲れさせてしまいます。
🧭 セルフチェック:「肝」が疲れていませんか?
当てはまる項目が多いほど、「肝」の気が滞っているサインです。
☑ ため息が多く出る
☑ 胸や脇腹が張って苦しい
☑ 生理前にイライラ・乳房の張りが強い
☑ のどに何か詰まった感じがする(梅核気)
☑ 目が疲れやすく、かすむ
🌼 「肝」をいたわる3つの情緒養生法
① 食事で整える:香りと酸味で“気”をなだめる
酸味のある食材(レモン、ゆず、酢の物)は肝の高ぶりを鎮め、
香りの良い食材(春菊、セロリ、ミント、菊花)は気の巡りを促します。
緑の野菜(ほうれん草・小松菜)も、肝の血流を助けて疲れを和らげます。
💡おすすめドリンク: 菊花茶やミントティーで、心身をやさしくリセット。
② 生活で整える:深呼吸とストレッチで“気”をリセット
イライラしたときは、まず 深呼吸を3回。
さらに、体の側面(わき)を伸ばすストレッチは肝経を刺激し、気の流れを改善します。
仕事の合間、夜のお風呂あがりに行うだけでも、
胸のつかえがスッと軽くなります。
③ ツボで整える:「太衝(たいしょう)」で滞りを解放
📍 場所: 足の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前のくぼみ。
✋ 押し方: 「気持ちいい」と感じる強さで、ゆっくり30〜50回。
💡寝る前に行うと、上がった気が降りてリラックス効果が高まります。
お灸を使うのもおすすめです。
🌙 まとめ:イライラは“がんばりすぎ”のサイン
秋のイライラや情緒不安は、心が「少し休ませて」と訴える身体からのメッセージ。
「肝」をいたわり、深呼吸やストレッチ、やさしい食事で気の巡りを整えましょう。
心が落ち着くと、自然と体も軽くなり、
“気・血・水”のバランスが整う秋 を迎えられます。
💬 次回予告
明日の【女性のからだケア】では、
足先の冷え・生理不調を整えるツボ「三陰交(さんいんこう)」 を特集。
婦人科系の悩みにも効果的な温灸ケアのコツをお伝えします。
🪷 ご注意
この記事は東洋医学の理論に基づいたセルフケアの紹介です。
効果には個人差があります。体調に不安がある場合は、専門家にご相談ください。