こんにちは。安泰漢方鍼灸院の院長、稲葉貞子です。
朝夕の風が冷たくなり、手足や腰の冷えを訴える患者さんが増えてきました。
「手先が冷えて眠れない」「腰から下が氷のように冷える」——。
でも実は、“冷え”にはタイプがあり、人によって原因も対策も違うのです。

15年以上の臨床経験から見えてきたのは、秋に現れやすい 「3つの冷えタイプ」
あなたの冷えはどのタイプ? 今日からできる養生のヒントをお伝えします。


🩸タイプ①:エネルギー不足の「気血虚(きけっきょ)タイプ」

💡特徴

  • 手足全体が冷える(肘・膝まで)
  • 疲れやすく元気が出ない
  • 顔色が青白い、または黄っぽい
  • 食欲がない・食後に眠くなる
  • 動くと息切れがする

東洋医学的解釈:
体を温める“燃料”=気と血が不足している状態。
体の中心から冷え、疲労が重なると冷えが慢性化しやすくなります。

🍲 改善のコツ

  • 山芋・かぼちゃ・鶏肉など、気血を補う食材を
  • スープやお粥など温かく消化のよい料理を
  • 生姜・ねぎ・シナモンで体を少しずつ温める
  • 22時までの就寝でエネルギーを回復

🌬️タイプ②:巡りの悪い「気滞(きたい)タイプ」

💡特徴

  • 手足の先だけが冷える
  • イライラ・憂うつ・ため息が多い
  • 肩こり・頭痛が出やすい
  • 生理前やストレス時に冷えが強くなる

東洋医学的解釈:
気は足りていても「流れ」が悪い状態。
ストレスで胸のあたりが詰まり、温かさが末端に届きません。

🍵 改善のコツ

  • 香りの良い食材(しそ・みょうが・春菊)で気を動かす
  • 柑橘類や陳皮茶で気の巡りをサポート
  • 深呼吸や軽い運動でリラックス
  • 趣味の時間を持ち、感情をためない

💧タイプ③:水分代謝の悪い「水湿(すいしつ)タイプ」

💡特徴

  • 体が重だるく、むくみやすい
  • 雨の日に体調が悪化
  • お腹がチャポチャポ音がする
  • 下痢・軟便・冷えを伴う
  • 舌に歯型がつく

東洋医学的解釈:
体内に余分な「水」が滞り、内側から冷えるタイプ。
秋の長雨や湿気で症状が悪化しやすい傾向があります。

☕ 改善のコツ

  • 小豆・黒豆・はとむぎでむくみを排出
  • 冷たい飲み物は避け、常温または温かいものを
  • 入浴でしっかり発汗
  • 室内の湿度を50〜60%に保つ

🪡 当院でのタイプ別アプローチ

冷えタイプ主な施術使用経穴
気血虚タイプお灸・補気の鍼足三里・関元
気滞タイプ自律神経調整の鍼太衝・合谷
水湿タイプ利水・温補の鍼灸陰陵泉・豊隆

また、生活習慣・食事・入浴法も合わせて指導し、
“温めて流す”体をつくります。


🩶 院長の観察から

患者さんの“冷えの訴え方”にも、体質のヒントが隠れています。

言葉の傾向関連タイプ
「全身が冷える」「温まらない」気血虚
「手先・足先だけ冷える」気滞
「体が重く冷える」「むくむ」水湿

冷えを感じる場所も重要なサインです。
お腹が冷えるのは“脾”、腰から下は“腎”、手足の先は“気の巡り”に関係しています。


🧧 実例紹介

  • Aさん(38歳・気血虚タイプ)
     お灸+食事指導で1ヶ月後に体の芯から温まり、疲れが軽減。
  • Bさん(45歳・気滞タイプ)
     ストレス緩和の鍼治療で手先の冷えと頭痛が改善。
  • Cさん(52歳・水湿タイプ)
     利水の鍼灸でむくみが取れ、足の冷えも軽減。

🌸 まとめ:冷えは「体からのメッセージ」

冷えは、ただの体質ではなく 体のバランスが乱れているサイン
自分のタイプを知ることで、根本から温まる体づくりができます。

「どのタイプかわからない」「複数に当てはまる」方も、
鍼灸と食養生の両面から、あなたに合った温活法をご提案します。


💬 次回予告

明日の【今日のツボ】では、
万能温めツボ「関元(かんげん)」|おへその下で“生命の火”を燃やす簡単温灸法 をご紹介。

全身の陽気を補い、冷え・疲れ・女性バランスを整える関元の効果と、
自宅で安全にできる温灸ケアの方法をお伝えします。お楽しみに!


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