こんにちは。安泰漢方鍼灸院の院長、稲葉貞子です。

「眠ってもすぐ目が覚める」「夢ばかり見て疲れる」――
そんな夜が続いていませんか?

実はそれ、東洋医学でいう 「血虚(けっきょ)」
つまり「血(けつ)」が足りていない状態のサインかもしれません。
血は体に栄養を運ぶだけでなく、心(しん)=精神を安定させ、
深い眠りをつくる大切な要素です。


🍂 「血虚」とは?

東洋医学でいう「血」は、単なる血液ではなく、
“からだと心を潤し、安定させるエネルギー” です。

この「血」が不足すると、身体だけでなく心も不安定になり、
眠りの質が低下します。

血虚の主なサイン

☑ 眠りが浅く、すぐ目が覚める
☑ 夢が多く、朝から疲れが残る
☑ めまい・立ちくらみがある
☑ 爪が割れやすい、髪にツヤがない
☑ 肌が乾燥しやすい
☑ 目がかすむ・乾く
☑ 記憶力・集中力の低下


💤 なぜ血が足りないと眠れないの?

東洋医学では「心(しん)」と「血(けつ)」は深く関係しています。
血は心を養い、心が安定すると、精神も静まり眠りも深くなります。

「心は血を主り、神を蔵す」——
血が不足すると、心を支える力が足りず、
不安や焦り、浅い眠り、夢の多さとして現れるのです。

現代医学的にいえば、血流不足により脳がリラックスできず、
レム睡眠(浅い眠り)が増えている状態に相当します。


🌿 「血」を補う養生と食事法

基本の養血食材

  • 竜眼肉(りゅうがんにく):心を落ち着かせ、安眠を助ける
  • なつめ:胃腸を整え、気血を補う
  • 黒ごま:髪・肌を潤し、肝腎を養う
  • クコの実:目の疲れ・不眠・更年期のケアにも◎
  • 松の実:潤いを補い、肌と心を整える

🍵おすすめレシピ①

竜眼肉となつめの安眠茶
材料:竜眼肉10g、なつめ3個(種を除く)、クコの実5g、水500ml
→ 弱火で15分煮出し、温かいうちに飲む。
ほっとする自然な甘みで、就寝前にも最適。

🍚おすすめレシピ②

黒ごまの養血粥
材料:米1/2合、黒ごま大さじ2、なつめ2個、水600ml、塩少々
→ 黒ごまを軽く煎ってすり、炊き上がったお粥に加える。
朝の養生食としておすすめです。


🌸 生活でできる「血を守る」習慣

避けたい習慣

  • 深夜までのスマートフォン・PC使用
  • 栄養バランスを欠いた過度なダイエット
  • 寝る直前の食事や飲酒
  • 考えすぎ・心配しすぎ

今日からできる習慣

  • 就寝1時間前にデジタルオフ
  • 温かいお茶でリラックス(なつめ茶・黒豆茶など)
  • 目の温罨法(ぬれタオルで温め)
  • 22時までに就寝し、腹式呼吸で心を落ち着かせる

🪡 鍼灸でできる「血虚」ケア

安泰漢方鍼灸院では、血の巡りを整え、安眠を導く施術を行っています。

主なツボ:

  • 足三里(あしさんり):胃腸を整え、血の生成を促す
  • 三陰交(さんいんこう):肝・脾・腎を調和して血を養う
  • 神門(しんもん):心を静め、不眠を改善
  • 血海(けっかい):血流を促進し、冷え・肌のくすみにも効果

症例紹介

40代女性(事務職):「夢ばかり見て熟睡できない」
舌色が淡く、脈が細い典型的な血虚タイプ。
週1回の鍼灸と食養生で、2週間後に朝の目覚め改善、1ヶ月後には熟睡感回復
3ヶ月後には肌ツヤも向上し、疲れにくくなりました。


💬 院長からのメッセージ

「血」は一夜で満たせるものではありません。
日々の食事・睡眠・心の使い方が、ゆっくりと血を育てていきます。

スマートフォンを置き、温かいお茶を淹れて、
心が“ほっ”とする時間を作ること。
それこそが、血を増やす第一歩です。


🪷 まとめ

眠りが浅い・夢が多いという症状は、体が「血が足りません」と伝えるサイン。
東洋医学では、血を補うことで心を安定させ、深い眠りを取り戻します。

薬膳・生活習慣・鍼灸治療を組み合わせて、
からだの内側から“静かな夜”を育てましょう。