〜呼吸の入口を守る、東洋医学のセルフケア〜

こんにちは。
昨日の【暮らしの東洋医学】でご紹介した「肺を潤す白い食材」、もう試してみましたか?
今日は、その“潤いケア”とセットで実践したいツボをご紹介します。

東洋医学では、秋の乾燥(燥邪〈そうじゃ〉)は「肺」から侵入すると考えます。
その最初のサインが、「鼻づまり」や「喉のイガイガ」。
つまり、呼吸の入口が乾燥にさらされているサイン です。

今回は、そんな秋の呼吸を守るための“防衛ツボ”を2つ。
どちらもご自身で簡単に押せる、日常の小さなセルフケアです。

🍃 秋の呼吸を守るツボ“防衛隊”

1️⃣ 鼻の通りをよくするエース:「迎香(げいこう)」

💡 効果

「香りを迎える」という名前の通り、香り(呼吸)を取り入れるツボです。
鼻づまり・鼻水・花粉症・蓄膿症などの鼻トラブルに広く効果があり、
鼻まわりの血流を整え、嗅覚をクリアにする働きもあります。

📍 場所

鼻の穴のすぐわき、ほうれい線(鼻唇溝)の上にある小さなくぼみ。

✋ 押し方

  1. 人差し指の腹を「迎香」に当てます。
  2. やや斜め上(鼻の付け根の方向)に向かって、
      気持ちいいと感じる強さでゆっくり円を描くように1〜2分。
  3. 鼻が詰まっている時は、片側ずつ交互に行うのがおすすめです。

🌿 ポイント: お風呂上がりや寝る前など、体が温まっている時が最適。

2️⃣ 喉の不快感を鎮めるスペシャリスト:「天突(てんとつ)」

💡 効果

「天への出入り口」という名を持つツボで、気管や食道の通り道に位置します。
喉のつかえ・イガイガ・咳・痰の切れにくさに効果があり、
肺を潤して呼吸をスムーズに整えます。

📍 場所

左右の鎖骨の間、胸骨の上のくぼみの中央。

✋ 押し方(※注意あり)

  1. 人差し指または中指の腹を「天突」に軽く当てます。
  2. 強く押さず、気持ちいい程度の圧で、
      ゆっくり下方向(胸の内側へ)に向かって1〜2分。
  3. もしくは、円を描くように優しく揉んでもOKです。

⚠️ 注意: 喉はデリケートな部分です。
爪を立てたり、強く押し込んだりせず、“そっとあててゆるめる”イメージで行いましょう。

🌬 ツボをさらに活かすセルフケアのコツ

  • 予防として:
     外出前や乾燥した場所に行く前に「迎香」と「天突」を軽く刺激しておくと、
     秋の乾燥(燥邪)から体を守るバリアになります。
  • 症状が出たとき:
     「鼻がつまってきた」「喉がイガイガする」と感じたタイミングでこまめにケア。
     初期段階での対処が回復のカギです。
  • 呼吸と合わせて:
     ツボを押しながら、鼻から吸って口からゆっくり吐く深呼吸を意識。
     副交感神経が整い、リラックス効果が高まります。
  • 道具を使うなら:
     指が疲れる方は、ツボ押し棒や丸いスプーンの背でもOK。
     ただし「天突」は必ず優しい力で。

🕊 東洋医学から見た「迎香」と「天突」

東洋医学では、

  • 「迎香」は 肺経 と外気を守る 大腸経 に属し、外からの乾燥をブロック。
  • 「天突」は 任脈(にんみゃく) に属し、体の中心から呼吸の通りを整える。

この2つを組み合わせることで、
外(表)を守り、内(中)を潤す バランスの取れた呼吸ケアになります。

🌾 まとめ:今日からできる“呼吸のコンディショニング”

「迎香」と「天突」。
どちらもシンプルで続けやすく、仕事の合間や家事のすき間時間にできる“頼れるツボ”です。

薬に頼る前に、まずは自分の手で、
体がもともと持っている“治る力”を引き出してあげましょう。

昨日の記事 👉 肺を潤す“白い食材”で内から整える養生法 とあわせて、
「内から潤す × 外から守る」秋の養生 を実践してみてくださいね。

💬 次回予告

次回の【私の東洋生活】では、
『寒露(かんろ)』を迎える前に始めよう|肺を潤す“白い食材”食養生 をお届けします。

乾燥が進み、喉や肌がカサつき始めるこの季節。
東洋医学では、「肺を潤す」ことが秋の元気を保つカギとされています。

れんこん・大根・梨などの“白い食材”がもつ力と、
今日からできる簡単な養生のコツを、わかりやすくご紹介します。

🪷 ご注意

この記事は東洋医学の知恵に基づいたセルフケアのご紹介です。
効果には個人差があります。ツボ押しは“気持ちいい程度”で行い、痛みを感じたらすぐ中止してください。
持病がある方・妊娠中の方は、実践前に医師や専門家にご相談ください。

🔗 参考:厚生労働省|統合医療情報発信サイト(鍼灸・東洋医学について)