こんにちは。安泰漢方鍼灸院の院長、稲葉貞子です。

季節の変わり目になると、「なんとなく疲れが取れない」「よく風邪をひく」という方が増えます。
それは、東洋医学でいう「気虚(ききょ)」——エネルギー不足の体質かもしれません。


気虚とは?「気」が足りない状態

東洋医学でいう「気(き)」とは、生命活動を支えるエネルギーのこと。
この気が不足した状態を「気虚」といいます。

たとえるなら、体のバッテリーが常に充電切れ寸前のような状態です。
少し動いただけで疲れやすく、回復にも時間がかかります。


気虚体質の特徴

次のような症状が続くときは、気虚のサインかもしれません。

  • 疲れやすく、休んでも回復しにくい
  • 風邪をひきやすく、治りにくい
  • 声に力がない、話すのが面倒になる
  • 食後に眠くなる
  • 動いていなくても汗をかく
  • 顔色が青白い、または黄色っぽい

なぜ気虚になるのか?現代的な原因

🔋気を消耗する生活習慣

過労と睡眠不足

  • 働きすぎ、頑張りすぎ
  • 夜更かし、不規則な生活

食生活の乱れ

  • 冷たいものの摂りすぎ
  • 食事を抜く・早食い
  • 栄養バランスの偏り

慢性的なストレス

  • 心配事や考えすぎ
  • 常に気を張っている状態

これらが積み重なると、体のエネルギー源である「気」が消耗し、慢性的な疲れにつながります。


気虚を改善する3つのアプローチ

① 食事で「気」を補う

気を養う食材:

  • 米、いも類、かぼちゃ
  • 豆類(特に大豆製品)
  • 鶏肉・牛肉・魚
  • きのこ類

調理のポイント:

  • 温かい料理を中心に
  • よく噛んで食べる
  • 朝食を抜かない

おすすめレシピ例:

🍲 かぼちゃと鶏肉の煮物
甘味と滋養の両方があり、気を補う定番メニューです。


② 生活習慣で「気」を温存する

心がけたい習慣

  • 22時までに就寝
  • 無理なダイエットをしない
  • 軽い運動(散歩・深呼吸)で気を巡らせる

避けたい習慣

  • 深夜までのスマホ・動画視聴
  • 冷たい飲み物の一気飲み
  • 過度な運動

体を冷やさず、しっかり休むことが“気”をためる第一歩です。


③ ツボ刺激で「気の流れ」を整える

足三里(あしさんり)

膝の下、外側にあるツボ。消化機能を高め、気を補う代表的なツボです。

関元(かんげん)

おへその下にあるツボ。全身のエネルギーを底上げします。

湧泉(ゆうせん)

足の裏の中央にあるツボ。腎の働きを助け、体全体の生命力を引き出します。

🌿これらのツボを1日数分やさしく押すだけでも、体の巡りが変わっていきます。


当院での「気虚」ケア

安泰漢方鍼灸院では、気虚体質の方に対して、
鍼灸・お灸・体質改善アドバイスを組み合わせたケアを行っています。

鍼灸治療

  • 気を補うツボ(足三里・関元など)を中心に
  • 消化機能を整え、エネルギーを生み出す力を高める
  • 一人ひとりの体質に合わせたオーダーメイド施術

お灸

  • 温灸で気の流れを整え、体の芯から温める
  • ご自宅でできる安全なお灸の方法も指導しています

漢方

東洋医学では、体質に合わせて「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」「六君子湯(りっくんしとう)」などの処方が用いられることがあります。
ただし、体質により合う漢方は異なりますので、自己判断せず専門家にご相談ください。


症例紹介:30代女性・疲れと風邪をくり返す気虚体質

Eさん(34歳・事務職)は、仕事と家事の両立で疲れが取れず、
月に2回ほど風邪をひく状態が続いていました。

ケア内容:

  • 2週1回の鍼灸治療
  • 朝食を摂る習慣づけ
  • 22時就寝を目標に生活リズムを整える
  • 足三里への温灸

経過:
1ヶ月で疲れが軽減し、3ヶ月後には風邪をひかなくなりました。
半年後には「朝の目覚めが軽くなり、気持ちも明るくなった」と話されました。


気虚チェックリスト

3つ以上当てはまる場合は、気虚傾向かもしれません👇

□ すぐ疲れる
□ 風邪をひきやすい
□ 食欲がない
□ 声が小さいと言われる
□ 汗をかきやすい
□ 顔色が悪い


まとめ:気を養えば、毎日はもっと軽やかに

気虚は、放っておくと冷えや免疫低下など、さまざまな不調につながることがあります。
しかし、日々の養生と適切なケアで確実に改善できる体質です。

「最近、疲れが取れない」「自分も気虚かも…」と思ったら、
まずは生活のリズムを整え、体を温めることから始めましょう。

安泰漢方鍼灸院では、女性の体質やライフステージに合わせたエネルギーケアを行っています。
お一人おひとりの“気”が満ちて、軽やかに過ごせますように。