〜東洋医学が教えてくれる、手のぬくもりの癒し〜

朝夕がすっかり涼しくなり、窓から入る風にも秋の深まりを感じる季節になりました。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。安泰漢方鍼灸院の院長、稲葉貞子です。

現在、当院では11月開催予定の 「親子でできる東洋医学ケア講座」 に向けて準備を進めています。
資料を整えながら改めて感じたのは、東洋医学の原点ともいえる——
「触れる」という行為の力 です。


🤲 触れることは、いちばん最初の“コミュニケーション”

人が生まれて最初に受け取るケアは「触れられること」。
母親に抱かれ、背中をさすられ、お腹をやさしく摩られる。
それは、言葉を持たない赤ちゃんにとって 最初の安心と愛情の伝達 です。

東洋医学の「小児推拿(しょうにすいな)」は、まさにその“触れる”を体系化した智慧。
単なるツボ刺激ではなく、親御さんのあたたかな手のぬくもりを通じて、
子どもが「守られている」と感じる瞬間に、心と身体がゆるみます。

そのとき、子ども自身がもつ 自然治癒力(なおる力) が静かに目を覚ますのです。


🌿 “気”の交流としての「手当て」

私たちの手のひらには、単なる皮膚以上の力があります。
そこには生命のエネルギー——「気」 が流れています。

親が子の身体にそっと手を当てる。
それは物理的な刺激ではなく、見えない栄養(気)を届ける行為 です。

  • 「お腹が痛いのね」とさする手
  • 「熱があるのね」とおでこに当てる手
  • 「大丈夫よ」と背中をトントンする手

どれも立派な“手当て”です。
検査結果には表れませんが、確かに子どもの心と身体を癒す力があります。
それこそが、家庭でできる 最初の東洋医学 です。


🌸 講座に込めた、たった一つの願い

11月の講座では、鼻水・咳・便秘などの症状別ケアも実践的にお伝えします。
けれど、いちばん伝えたいのは――

「自分の手には、子どもを癒す力がある」

という確信を持っていただくことです。

薬や病院に頼る前に、
まずはご自身の手でお子さんの身体に触れ、その声を感じてみてください。
そのぬくもりこそが、安心と回復の源 になります。

講座資料の最後のページには、こんな言葉を添えました。

「まずは、いちばんやさしい“触れるケア”から始めてみましょう。」


🌈 おわりに

来月、講座でお会いできるお父さん・お母さん、
そしてかわいらしい子どもたちとの出会いを、今からとても楽しみにしています。

来週の【親子でできるケア】では、講座内容の一部を先行して、
「風邪のひきはじめに親ができる3つのケア」 をご紹介します。

どうぞお楽しみに。

参考:
🔗 厚生労働省|統合医療情報発信サイト(東洋医学)